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James Blake Interview in 2016 with Pitchfork


あけましておめでとうございます。

James Blakeのpitchforkでのインタビューです。内容が面白かったので訳してみました。
James Blakeの音楽は、内省的で、ちょっと奇妙でもあるが(実際Blakeはちょっと世慣れしていない感じがする)そのディープでハスキーな歌声と、静かなピアノがそれだけで心にすとんと収まる、不思議な音楽だ。

わたしは個人的に彼のひととなりも好きで、190センチ近い長身で整った顔立ちをしているのに、本人は音楽フリークで、ちょっとコミュ障気味で、引きこもりちっくな、本当に最近社会デビューをしたのかのような不慣れな感じな人間性が好きなのだ。ライブでもあの長身を折り曲げて演奏に熱中する様子は面白い。

勝手にプライベート事情なんかを調べて以前ブログに挙げたぐらい好きである。

2016年はあまり真剣に音楽を聴いたり、向き合う時間がなかったので年末年始のいま色々見返しているのだが、そんな彼のひととなりがうかがえるようなインタビューがピッチフォークであったので、訳してみた。

まあ完全に自分のメモのようなものですが、よければこの機会に日本語でさらっと読んでみてください。


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Pithcofork:Lemonadeでのコラボはどのようにして実現したんですか?


James Blake:Beyonceがスタジオに来て、そのとき僕はピアノの前に座ってたんだ。彼女はすごく良いひとだったよ。僕はそのとき彼女が持ってたのに合うようなアイディアを思いついてさ。まあ彼女のメロディを装飾しただけなんだけど。そのアイディアは確か彼女の歌詞を一部使うことだったんだけど、気付いてなかったのがさ、僕は誤解してて彼女がやりたかったことと全く違うことをやったんだよ。まあ別にそれは問題ではなかったんだけど、っていうのも彼女がそれを気に入ってくれて、結局(自分が作ったバージョンを)使うことになったんだ。Blue Ivy(Beyonceの娘)もそこにいたんだけど、最高だったね。彼女も曲に合わせて歌ってくれて、それもすごい名誉だったけど、ほら子供ってうわべだけなことはしないし。


P:その曲の前にBeyonceの周囲と連絡は取っていたんですか?


J:そんなに長く連絡を取ってたわけじゃないよ。彼女と仕事してるひとも良い人でね。正直いうと、そういう世界のすごく、すごく有名なミュージシャンとかアーティストって個人的な連絡をすることはすごいレアなんだよ、そういう点では一種の完璧な環境だし、こういう経験はものすごく恵まれているんだ。伝統的なやり方でコラボして仕事するのは楽しいよ、実際に腰掛けて一緒に音楽を作ってさ。心配だったのはそういう風にはならないじゃないかってことだったんだけど、僕は彼女が取り組んでた曲に一緒に取り組んで、そこでコラボしたんだ。そのコラボについて彼女と話すのは最高だったよ。彼女みたいに素敵なひとと仕事するとそれ自体もそれぐらい良くなるんだよね。それぐらいのレベルのひとと一緒だとさ、自分で分からなくなるんだよね、ひとつのレコードに携わる人がものすごく多くなっちゃうからさ、でも彼女は本当に完璧なライターでありシンガーだよ。


P:どこにどうやってその曲がアルバムや映画に収まるのかは知っていましたか?


J:いや全く。すごく嬉しいサプライズだったのが、自分の曲がそのままちゃんとリリースされて、ちょっとだけ僕の入ってるパートで彼女がハモってくれたんだ。最初聞いた時は寒気がしたよ。それに映画に使われたところもすごく感動した、母親たちが息子の写真を掲げて、警察にひどい殺され方をするんだ。すごく名誉だった。


P:あなたに対するリアクションはどうでしたか?周りの人たちは驚きました?

J:うん。どれだけ彼女が影響力があるかっていうことだね、いとこのいとこが電話かけて来たりしたよ。これは予想してなかったね。本当に嬉しいよ。 


P:あなたのアルバムとリリースが近かったのはただの偶然ですか?


J:そうだよ、本当にそういう計画があったわけじゃないんだ。彼女がいつリリースするのかは全然知らなかったよ。でも良いタイミングだったね、ほんとに。


P:あなたはThe Colour in Anythingをこれまでの作品と比較してどう見ていますか?


J:視野も広くなったし、たくさんの変化や成長があって、その結果だね、本当に、自分もすごく成長したし、自分のことを振り返った。自分の人間関係がこういう変化を生み出したんだと思う。この数年一緒にいたひとは自分を映す鏡となってくれた。つまり、僕は一人っ子で育って、21で有名になったんだ、自分がペトリ皿の中でみんながその成長を覗き込んでるような感じだよ。いまは色んなことに共感できるようになったし、色んなひととも関われるようになった気がしてる。


P:つまり今までの遅れを巻き返したと?

J:まあそういうことだと思う。僕が話してることのほとんどは他のみんなにはすごく普通なことなんだけど、みんな兄弟や姉妹と育ったり、すごく活動的に社会に関わったりしてさ。でも思うにミュージシャンやアーティストはは特にそういう普通の育ち方からは遠ざかるリスクがあるんだよね。僕はこういうことは守ったり、戦う価値があると思うし、これは自分自身を見つめることでもある。長い目で見れば良かったけど、すごく苦しかった。

P:このレコードはこれまでの作品に比べて二つの点でかなり範囲を広げてますよね、演奏スタイルのバラエティと、長さという意味とで。今回はもっと野心的にしようとしてスタートさせたのですか?
 
J:いや、すごい変なことなんだ。ひとは不安定な人生を生きていると、すぐに自分のことが分からなくなってくる。自分で自分を忙しくしたり、活動的にするのと同じメカニズムを知らないとね、そして僕はその穴に落ちてずっと非生産的になっていたんだ。音楽は作っていたけど、延ばせるものは延ばしまくっていたし、普通の人生を歩もうとしてたんだ、だいたいはね。自分の頭の中に音楽以外の他のことに使う空間を作りたくて、一年は自分の精神状態を良くしようとしてたよ。それからそうしてみたら、レコードでもすごく良い曲が書けたんだ。


P:今回は同時にもっと積極的にコラボすることにしようとしたと話していましたよね。


J:レコーディングしてる最中で感じたのが、誰かの助けを借りて、誰か他の人と仕事しないとこのレコードは完成させられない気がしたんだ。注意してないと簡単に穴に落ちちゃうからね。それで思ったんだけど、こんなのクソだ、他のエンジニアと仕事をするぞ、って。こういうアイディアはフランクと仕事をしてて浮かんできたんだ、フランクはこのレコードでものすごいインスピレーションになったよ。プロセスとか、音楽の書き方から、その強さから、そしてフランクの人となりからね。お互いにすごく良い友達になったよ。


J:最初はフランクの仕事を一緒にしてて、それでこのコード進行がなんか気に入らないなっていうのが一緒に作曲している中にあって、僕にはアイディアがあったんだ。僕がそれを思いついた時にプロデューサーが部屋に居たんだけど、そのプロデューサーは”うん、このコードでいいと思う”って感じで、僕は”いやいや”って感じだった。それで彼が言ったのは”これはフランクの音楽だぞ”って。これは僕が自分の音楽を作っててた三年間学べなかったことだって思ったんだ。プロデュースにおいて初めて学んだ、人に任せるっていうことをさ。大事なのはフランクのビジョンっていうことなんだよ、最後にはね。もし立場を逆転させて、フランクがある意見が僕の音楽に対してあったとしたら、僕はそれを考えてみるだろうけど、それも同様に僕の感情の本質なわけで。だけど、これから学んで、自分のプロジェクトで他のミュージシャンとコラボしたいなと思ったんだ。


P:でも同時にフランクオーシャンのレコードは待つ価値があるだろうって言いましたよね?


J:そうだよ、僕が知る限りではね。テーマが変わるかもしれないし。フランクは何かに取り組んでる最中なんだ、ほんとにね。


P:あなたのアプローチはこのアルバムでどのように変わったんですか、音楽的な点でいうと。


J:ピアノの前に座ってもっと歌おうとしてたよ。Justin Vernonともっと話をしたりして、っていうのも彼はすごいプロデューサーなんだ、多分彼のことをそんなに知ってるひとは多くないとは思うけど。彼と話しをするのはすごく良いよ。かなりRickみたいなんだ、実際。Justinはすごく温かいひとだよ。僕らはすごく良い友達になったと思う。初めてあった時は、ひとつの線上でずっと離れ離れになってたのが、ここで再会したみたいに感じられたんだ。すごく変な感じだったよ。スタジオでも、Justinの話し方は”なあ、あのトラックのコード、すごいいいと思うよ”って感じで、僕はそれを聞いてすごく自信がついた。マイクに向かって誰かと一緒に歌うのも新鮮だったしね。今までちゃんとこうやってちゃんとコラボしたことはなかったからね。



P:いつかKanyeとコラボした時の話をしていましたよね、でもこのレコードにはそのコラボはないですよね。実現しなかったんですか?

J:何かがあるはずだったんだよ。うまく説明出来ないけど、実現はしなかった。”Timeless”の曲にKanyeも参加して欲しかったんだけど、その節は曲に入らなかった。思うに彼の人生は注目を集めることがかなり多いけど、僕はそうじゃないというだけで。結局アルバムの雰囲気も変わったんだ、それで僕も最終的にこのコラボは合わないなと思ってさ。でもKanyeとコラボしてたとは言ってないよ、みんな興味はあったみたいだし、僕も彼に参加してもらいたかったけどね。


P:実際に会ったことはあるんですか?


J:あるよ、最高だったね、っていうのもただそういう(Kanyeの周囲の)環境に慣れてなくて。それで彼が”(アメリカの)Hidden Hillsで会おう”って言ってくれて。今までそんなところには行ったことないんだけど、セレブのリゾート地みたいなところで、ゲートがあって、まあ全てが揃ってるんだ。それでGPSに”Hidden Hills”って入力して行ってみたらどこぞの農場かなんかに着いちゃってさ。記憶してるのは、アメリカでそこの人と何かあった経験といえばさ、(自分が)遅刻したり、なんとなく信頼できないやつになってたことかな、なあ、もしKanyeが自分との約束に遅刻してたってことだったらそんなことにはならなかっただろうけどね。


P:それで遅刻したんですか?


J:2時間遅刻してったよ。着いてから、僕は”本当に申し訳ない”って感じで。もう半狂乱だった。でもKanyeはすごくクールだった。本当に良い人だったよ。だからさ、まあ、社会的にいって、まあなんとかはなったんだけど。でも何も音楽は生まれなかったよね。まあそれでいいんだよ。



P:あなたは憂鬱な音楽を作ることで有名ですよね。今回はそういうことからは離れようとしたんですか?


J:自分が前作った音楽を聴いたら、なんか幸せそうな人間には感じられなかった。自分がずっと不幸だったなんて気付いてすごいびっくりしたし、僕の周りの人も気付いてなかったんじゃないかな。別に何も楽しんでなかったとは言わないけど、音楽のキャリアを始めたばかりの四年間で、そのほとんどは、記憶してるうちでも自分の望むような形だったかは疑わしいかな。記憶の中のいくつかはもうぼんやりしてるよ。気付いたんだけど(音楽制作ということに関しては)別に僕が幸せだろうが悲しかろうが別にそこはそこまで重要じゃないんだって、大事なのは敏感であること、それから世界に対する自分の反応だよ。僕は自分のことを終わりのない不安や憂鬱のサイクルにおいて、そこから音楽を作ろうとするようなアーティストの1人にはなりたくないんだ。


P:害のあるような生き方ではありますね。


J:ほんとにね。最初の二枚のレコードは、音楽的にはすごく自信がある作品なんだけど、同時にもう二度と同じような考えにはなりたくないなと思えるようなのもあるんだ。いまはそういう考えからは離れてここで、楽しんでるけどね。全てが色づいてるんだ。

P:ひととの関わり方も同時に変わりましたか?


J:そうだね。僕が気付いたのは、ひとはそのひとが有名になると、そのひとがどういう状況なのかを聞いてなくなるんだよ、本当に、深い意味で、そのひとがどういう状態なのかってね、”仕事はどう?”とかっていうことじゃないよ、つまり、”大丈夫?”っていうことをさ。
っていうのはそうだと思い込んでるからさ。それから自分の週末がどうだったか話してくれなくなる。だから自分が本当にそういうことを気にかけているっていうのを思い出してもらうのはちょっと骨が折れるね。僕がブライアンイーノの家にお茶しに行ったからって、金曜日にクラブに行ったら何があったのか知りたくないってわけじゃないんだからさ。


P:私はダブステップ系の人間じゃないので…

J:僕も違うけどね。



P:でもそういう世界(憂鬱なサイクルの中)で音楽を作ることは音楽制作そのものに破滅や鬱をもたらすと思いますか?


J:絶対そうだね。すごいおかしいのがさ、僕がそういう音楽を作ってた時にそれを聴いた人が言ってたのは、”これじゃ踊れないよ、メロディーが何もないし”っていうことだったんだけど、それを聴いて僕は”こいつら何言ってるんだ?この音楽は僕が今感じてることを完璧に表現してるのに。”って思ってたんだ。でも今はなんでみんながそういうことを言ってたのか分かるよ。今ならなんとなくその意味を掴んだ気がするんだ。

http://pitchfork.com/features/interview/9889-james-blake-and-the-pursuit-of-happiness/

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