Sakamoto Shintaro / How To Live With A Phantom 7.4 / 10 Pitchfork by Eric Harvey 坂本慎太郎のことを理解しようとするにあたって、まずトッド・ラングレンのことから始めるのが良いだろう。ラングレンのように、坂本はスタジオにこもりきりになってプラトニックな自身のポップミュージックの理想を作り上げようと努力する前にサイケポップガレージバンドでのキャリアから始めたのである。 たどった軌道こそ同じだが、ラングレンが少し変わった世捨て人風ポップの LP 作品をリリースするまで 1970 年代を通して Nazz としての活動はたった 2 年間しか続かなかったのに対して、坂本は今年自身のソロ作をリリースするまで 1989 年から 2010 年まで素晴らしき、ゆらゆら帝国としての活動を送ってきた。 ここ、 2,30 年の日本での活動が多く、それが語るように、ゆら帝は母国では大きな存在であったが、アメリカではちょっとしたカルト的な活動が盛り上がっただけであった。 (DFA はこっそり 2009 年に Death from Abroad の LP をリイシューしていたが ) 申し分ない程に作り込まれた Hot to Live With a Phantom のラウンジポップは小規模ながら熱烈なリスナーを生み出すのではないかという印象を与える。 Phantom は坂本がプロデュースし、自身で多くの楽器演奏しており、あたかも魔法で金のラングレン像を召喚して、神 Something/Anything の見開きジャケットの部屋に閉じ込めてしまったかのようだ。 だがその一方で坂本がコンガをレコーディングしながら取締役会レベルを足の指で調整