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THE PERKS OF BEING A WALLFLOWER

AT THIS MOMENT, WE'RE INFINITE. 
 -この瞬間、僕らは最強だ-



*ネタバレ含みます




WE'RE INFINITE...ぼくらは無限だ、っていう訳があまりに、ちょっとしっくりこなかったので、自分なりに考えてみたのだが、「神」でも「無限大」でも、日本語だとしっくりこない。そこで、「最強」という妥協案を入れてみた。どうだろう。

「さようなら、壁際のぼく」





という宣伝文句がつけられたこの映画は、スミスがきっかけで惹かれあう、ほろ苦い恋物語でも、友達がいないいじめられっこが真の友達を見つける物語でもあるため、確かにひりひりするような青春映画の要素は含んでいるが、前回書いた「ブロークンイングリッシュ」同様、トラウマを抱えた少年の成長物語である。

だれにでもトラウマはあるだろう。かくいうわたしも、一年ほど前の就職活動は辛かったし、今はそんな就活を扱ったドラマを観るのもちょっときついものがある。だれだって、一度は失恋を経験しているだろうし、友達や家族とけんかしたり、それこそ思い出したくのない記憶は少なくともひとつは持っているだろう。

かのフロイトは、われわれの精神というのは意識があるときは、トラウマや思い出したくない記憶を意識下においているが、それが寝ているときは開放されるため、夢でトラウマの再現を見るのだ、と説明している。

夢でなくとも、きっとなにかの拍子にそれはたとえばデジャヴのようにありありと浮かんできたりするのだ。

主人公チャーリーの場合、それは深刻だ。彼の場合、それがしょちゅう目の前に浮かんでくるし、それも姉をはじめとする誰かが恋愛関係でうまくいっていない状況を目の当たりにしたときは、トラウマは恐怖となって襲い掛かってくる。

Dear friend...ではじまる手紙形式の語りでチャーリーは、自分が"病院"にいたことを知られたくない、きっと変なやつだと思うだろう、と話すが、これが明らかに"精神病院"であるというのは、あとでわかることだ。

チャーリーの場合、端的にいうと、高校時代の親友が自分に何も告げず突然自殺したこと、そして愛する叔母が幼少の頃大雪の中自分のクリスマスプレゼントを買いに行き、そこで交通事故で即死したことが大きなトラウマになっている。

彼は別段隠そうともしないのが、逆におおっぴらすぎてこちらが拍子抜けしてしまうほどだ。

しかし、そんなあげっぴろげに自分の精神疾患、トラウマを友達に語ってしまうチャーリーだが、その表面化にまださらにトラウマが眠っていたことが明らかになる。

叔母さんに、彼は性的暴力を受けていたのだ。

暴力というほどではなかったかもしれないが、このときの出来事がきっかけとなり、彼はある種の矛盾する感情を叔母さんに抱いていた。そんなことをする叔母さんを許せないと思う一方で、大好きで、自分の良き理解者、という感情は、彼にある種男女間の一線を越えた関係に歯止めをかけていたし、このトラウマは親友の自殺もあいまって、幻覚を起こさせていた。

映画でははっきりと触れていないが、サムがはじめてチャーリーと関係を持とうとした瞬間、それはデジャヴのようにチャーリーに、叔母さんに受けたトラウマを思い出させるのである。

チャーリーは、しばらく精神病院の入った後、退院し、復学する。

友人が全員最上級生だったチャーリーが、これからまた友人を作っていけるのかは、果たして謎である。しかし、ラスト、映画はまたチャーリーがサムたちと会って、仲良くしているところからして彼がトラウマを乗り越えたとわかる。原作では、もし状況が悪化していなければ、この手紙を書くのはもうやめるよ、とチャーリーが書いているところで終わる。つまり、ハッピーエンドというわけである。

映画の感想を述べるなら、Percy Jacksonからチャーリー役Logan Lermanのファンだったわたしからすると、それがまた好きな女優Emma Watsonとの共演とあってかなり嬉しかったのだが、いまいちEmmaのアメリカンアクセントがはまっていないような気がして違和感があったように思う。
少年は残酷な弓を射る、のEzra Millorはなんとも美しすぎる青年で、ゲイのおかしな友人、という役もなかなか面白かった。





そういえば、近しい人の死というトラウマを乗り越える、日記調の本、といえば、小学生の頃に読んだ『あの空をおぼえてる』を思い出した。

こちらは、主人公が小さい頃道路近くで遊んでいたところ、トラックが出てきて幼い妹と轢かれてしまうのだが、自分だけ助かり、妹は亡くなってしまうという話。主人公は、亡くなった妹にひたすら日常の出来事を手紙形式で語っていくのだが、妹の死によって自分と両親との関係がぐらつき始め...という、こちらも妹の死だけではないトラウマの話である。



当時、あまり本や映画で感動して涙したことはほとんどなかったのだが、これは本屋で立ち読みして一人号泣した記憶がある。ぜひ、読んでみてください。


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