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Broken English


Broken English
*ネタバレありです

30歳過ぎ、結婚適齢期は過ぎそう、友達はどんどん結婚していく、わたしだけ男運が悪い。

なんて文句、きっとどこの世界に行っても同じような状況の女性はごまんといそうだ。

はやくしないと、いい男は売り切れるよ、なんて文句も全世界共通。たぶん。

仕事も出来て、どこかへ行けばキレイだと男には言われるけど、結婚できるような真実の愛なんてそう見つかりっこない。

おそらく、全体的な話で見れば、きっとこの映画はふつうの、よくある現実にちょっとだけありそうでない偶然の魔法スパイスを加えたような物語なんだろう。

だが、ところどころおかしい。

主人公はキレイで、頭も良くて、良い大学を出て、親友に恵まれて、仕事も気に入ってはいなくとも信頼されてチャキチャキできる。だが、結婚できない自分に、真実の愛を見つけられない自分に、そしてそれを親や周囲の人間にとがめられるのが許せない自分が、受け入れられない。

これって、問題は違えど、絶対にそれより前の年齢の、違う時代にも起こったことかもしれない。

頭がよくて、フルブライト奨学金を得てイギリスに行き、美貌もあり、また才能に恵まれた夫に出会ったけれども、どこか自分が受け入れられなくて自殺した、シルヴィア・プラスの「ベルジャー」の主人公にも同じことが言えそうだ。

「ベルジャー」はプラスの自伝的長編であるため、経歴は似ている。成績がよく、奨学金を得て大学が決定し、そしてある程度の美貌があるため男にはそう困らない。だが、エスターは、親友だがもっと美人で才能に恵まれた友人たちの生活と混ざった瞬間、自分は思っていたよりも、周囲が考えているよりも、違うのかもしれないと思い、精神が壊れ始める。

周囲の理想と、自分の考えと、普通は多少ずれがあるものだ。それを私たちは普段知っているし、ある程度受け入れてもいる。それが人間だ。私たちが鏡を見てそれが自分だと認識できるように、私たちは自分が周りにどう思われているかある程度知っているし、それに対する自分の評価や価値基準がある。

だが、それはあるところで迎合しなくなってしまう。ノラの場合、失敗に次ぐ失敗のため、自分の人生に期待するのをやめてしまった。これは、ある意味半分死んでいるようなものだろう。自分の将来がどうでもよくなるなんて、ほとんど生きていないも同然だ。

そこで、自分を会ったばかりなのにとてつもなく好いてくれて、自分のすべてを受け入れてくれそうな人物が現れる。そこには、この人が運命の人かもしれないと心の隅では思っていても、同時に期待すればまた将来から遠ざかるだけだと思う自分がいる。

そこで相手が自分を本当に受け入れてくれそうだとわかったとき、今度は自分の殻から抜け出せなくなってしまうため、発作が起きてしまう。「不安症の発作」だなんて、まさに典型的なのかもしれない。

精神安定剤だか、鎮静剤と飲むノラをジュリアンは思わずとめる。

「自殺するんじゃないんだから」とノラはいうが、ある意味これまでがほとんど自殺行為のようなもので、自分をがけっぷちに追い込んでいたのかもしれない。

自分の中の矛盾に、それまではある程度対応していたはずなのに、ありのままの自分を受け入れてくれる人が現れた瞬間、それまでの人生はなんだか、時間の無駄のように、まったく意味のないもののように感じてしまうのだ。

ただ、そのジュリアンが現れたのは、本当に魔法のような運命だが、またフランスに残って自分の好きなように、将来の「不安」から自分を解き放ったことで、最後ジュリアンに会えたということが、本当の自分を見つけ、また生きる糧を得たことなんだろう。

まあ、実際の人生そううまくもいかないかもしれないけど、ハッピーエンディングなのがハリウッド、だが、結婚、理想の人が見つけられない、真実の愛、自分、なんていう要素はどこにでもありふれている。そうでなくとも、私たちはこうした精神の危機に陥り、知らぬ間に自分の将来を奪って、死の淵に足を突っ込もうとする。

考えてみれば、この人生は一回きりなのだ、もし生まれ変わったとしても、それは「自分」ではない。出来るなら楽しもうじゃないか。これもまたありふれたコメントだが。

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