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Daniel Blumberg


先日、YuckからフロントマンのDaniel Blumbergが脱退したニュースが話題になった。

Cajun Dance Partyで高校生バンドながら、一躍UKのニューカマーバンドとして世界で(?)有名になったバンドで、フロントマンを務めていたDanielだが、バンドはこの時もアルバムを一枚出したきり、活動を休止、実質の解散となってしまった。

そんなDanielの活動の軌跡を追ってみようと思う。


なんだか、冒頭からして、死去したアーティストの追悼文のようだが、勘違いしないでくれ。

Daniel Blumbergは健在だし、これからもまた音楽界、またはアート界で活躍してくれるであろう。


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< Cajun Dance Party >



07年、UK Rockが最盛期と言われたこの時期に、NMEの期待の新人ランキングでいきなり一位を取ってしまった高校生バンドがいる。

その名も「Cajun Dance Party」。
メンバーは、Daniel Blumberg (Vo)、 Robbie Stern (G)、Max Bloom (B/Percussion)、 Vicky Freund (Key/Vo)、 Will Vignoles (Dr)の五人。

名曲Amylaseは多分、今でもUK Rockを代表する曲として、多くの人の心を掴んで離さない。

Cajun Dance Party - Amylase


プロデューサーもいきなり、元Suedeのバーナードを迎えて、XL Recordsからリリース。
だが、08年にセカンドアルバムに取り掛かろうとしたが、メンバー内の温度差からバンドは次第に活動をしなくなり、自然消滅。

どうやら、事実上解散ではあるが、完全に解散を宣言したわけではなかった。(後にSnoozerのインタビューでも、Danielはインタビューでバンドがどうなったのか、解散したのかはハッキリ皆で決めたわけではないと話していた。)

< Daniel in the Lion's Den >

 

 



その後、「Daniel in the Lion's Den」名義で09年にDanielはソロデビューを果たす。


Cajun Dance Partyでもそうだが、Danielの書く曲はメロディこそとても耳あたりがよく、とても心地の良い綺麗な響きなのだが、その歌詞はいつも刹那的で、どこか物悲しさを感じる。

私は一番「You and I」っていう曲が好き。
ただ、動画がyoutubeにないので、載せられないのが残念。

ピアノの美しくも、はかなげな伴奏、クライマックス部分で入る、ギターのノイズとピアノの響き、Danielのボーカルがうまく混ざり合って、Danielの感情が直接伝わってくるかのようだ。

Daniel in the Lion's Denというのは、ちなみに聖書の物語に出てくる有名な話である。
バビロンの王様ネブカドネザルがユダヤ人の中から優秀な官吏候補として少年を数人連れてきて教育するのだが、Danielはその一人だった。ある日Danielは王の夢から予言をし、それが当たったため、バビロン全州の長官に任命される。だが、それをねたんだ大臣がDanielを騙してライオンがたくさんいる洞窟に閉じ込めてしまうのだが、信心深いDanielはライオンに食べられることなく、陥れた大臣たちが逆に食われる、という話。
なんでDanielがこの名前を選んだのかは、ちょっと謎・・・

< Yuck >



その後、09年からCajun Dance PartyのMax Bloom(guitar/Vo)、Mariko Doi(bass)、Jonny Rogoff(drum)で結成した新バンドが、Yuck。(ちなみに意味は、「おぇー、」です。笑)

こちらはCDPやDaniel in the Lion's Den(どう略せばいいの、この名前...)と全く音楽性は異なり、90sのオルタナロックと、US indie rockを組み合わせたような、全くUKらしくないバンドだ。


正直、元Cajun Dance PartyのDanielの新バンドです!と聞いてこの動画を見た人は誰もが度肝を抜かれたはずだ。

Yuck - Get Away



いやはや。Daniel Blumbergの多すぎる音楽の引き出しには、全く驚かされっぱなしである。

さらに、MaxはCajun時にはbassだったが、今回はギターを務めている。(ギターの腕はもしかしたらMaxの方が上なのかもしれない。ライブ時はメインパートもほぼ彼がずっと演奏していたので。)

ちなみに、bassとなったDoi Marikoさんは、その名前から想像がつくように、日本人の女性である。

現在はHistory of Apple PieのJames ThomasとParakeetというデュオバンドを組んでいるが、彼女のベースはもちろん、ボーカルがキレのある男前ハスキーボイスで私は大好きなのである。

Parakeet - Tomorrow


去年の11月にはRough Trade Eastでライブも披露していた。(その時のMarikoさんが、毛先を金髪にしていてめちゃくちゃかっこよかった。)

ちなみに、その前はLeveloadというちょっとエレクトロ要素も入った、Elasticaのようなバンドを組んでいて、コーネリアスの後でFuji Rockでも演奏を披露していた。

Levelload - I Know You Know


ごめんなさい、ほかのメンバーは出てこなかった。。。苦笑

しかし、こうやってYuckからDanielが抜けてしまうと、なんだか彼は一枚以上バンドでやれないぐらい耐性がないのか?とも思ってしまう節はある。

実際、YuckはCajunのときよりも(実はライブに行ったことがないので感じがわからないのだが)、かなりDanielバンドのような雰囲気がしていた。

東京一夜限りのライブの際も、ひとり浴衣だが着物だかを羽織ってかなりはっちゃけた演奏をしていた。どちらかというと、本当にDanielは歌メインで、ギターもほとんどMaxが弾いていたし、まあみんな楽しそうではあったが、ワンマンなのかなぐらいには少し思ってしまった。

どちらかというと、他のメンバーが性格的に落ち着いた温厚な人ばかりだからなのかもしれないが。

ステージに現れたDanielは本当に若い頃のBob Dylanのような美しい人で、(頭の後退ぶりはともかく)目を奪われた。

青い目がすごく綺麗なんです。


Yuckのブログでは、かなり頻繁にDanielのアート(ジャケ写含む)が公開されていて、絵本や、詩、さらにはバンドもやりながら、Oupaというソロプロジェクトまでやるほどの精力ぶりであった。

ブログはこちら。(正直この絵が怖い...)


最後のpostが去年の6月なのだが、日本語付きの詩も上げていた。


ちなみに問題のOupaはこちら。

Oupa - Forget

 
 
Oupa - It's Rough(Smogのカバー)

Oupa - Physical

こちらはうってかわって、エレクトロ調。

本当に引き出しが多いぞ、Daniel Blumberg。

というわけなのである。

彼がまたバンドを抜けてしまったのも、わからなくはない。
正直ブログのポストもYuck関連より、彼自身の絵などの作品情報が明らかにポスト数が多い。

そういうわけで、我々はまた彼が何かきちんとした音楽活動を早くも再開してくれることを願うだけなのだが、それにしてもDanielがいなくなっても続けるというYuckとしては、今後方向性をどうもっていくのだろうか。それが一番気になるところではある。

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