Midnight in Paris by Woddy Allen
久しぶりに映画を観たのでその感想を書いていきたいと思います。以下ネタバレ注意。
Woody Allenといえば、かの有名なハートフルでウィットに富んだ恋愛作品を多く傑出している監督ですが、ちなみに前は違う作品を観て途中挫折。
私が以前観たのはミュージカルたっちのものだったので、こちらはうってかわってハートフルなドラマ作品。
あらすじはハリウッドの売れ本脚本作家のギルが婚約者のイネズとその両親の仕事の都合でやって来た憧れの街パリで自分らしい生き方を追い求めるといった話。
だいぶ端折りましたが、途中ギルが真夜中のパリで自分が愛してやまない80年代の大作家たちが生きる時代へとタイムスリップするという、いかにもありそうな一見陳腐に見えるストーリー構成なのだが、最近でいうソフィア・コッポラのSomewhereや500 days of Summerなどにも似た雰囲気を感じる。
タイムスリップした世界で出会った魅力的な女性、アドリアナに惹かれ恋をする。婚約者がいる身ながら、そうした魅力的な女性や自分が愛してやまない作家たちとの交流に溺れるギルは、またさらにアドリアナと愛を確認し合ったところで、なんとアドリアナが愛してやまない20年代のパリにタイムスリップする。
そこで彼が気がついたのは、自分があまりにも懐古主義に陥ってしまっていたことだ。アドリアナはそこに留まることに決めるが、ギルはすっかり意気消沈して現代へと戻る。
結局彼が追い求めていたのは、ただの過去の栄光、スノッブ主義的なものだったのかもしれない。
年寄りが「昔は良かった」と嘆くのとは違う、若いアーティストが自分の現状に満足できず、ただ過去にのみその素晴らしさを求めそこに依存しようとする感覚。
思えば人類は常に"懐古主義"だ。
かの有名なRalph Waldo Emersonもこうしたことを指摘していたし、そもそも人類はきっと発展を始めた頃から常に懐古主義だったのだろう。
"われわれの時代は過去ばかり眺めている。われわれの時代は、先祖たちの墓をたてる。われわれの時代は、伝記と歴史と批評を書く。われわれに先立つ世代は面と向かって神と自然とを見た。われわれは彼らの目を通して見ている。" (Nature)
だが、過去の栄光主義を追い求めてばかりいたギルが最後に見つけたのは、本当の理想だった。
実は1度しか観れなかったので、詳しいところを掘り進める時間がなかったのですが、とにかく観ていて気持ちの良い作品だと思います。
そして、ヘミングウェイがとてつもなくかっこよく描かれています。笑
真夜中でタイムスリップするなんて、いかにも童話的というかメルヘンチックですがそれをうまくストーリーに取り入れてしまうWoody Allenはさすがです、というべきか。
前にどこかで読んだのですが、すべての芸術作品というものは、過去の積み重ねがあってこそのものであり、結局は全てそれに基づいて出来たものであるということらしいのです。
この作品で偉大な芸術家たちが絶え間なく口にするのは、前時代の方が優れていた、今の時代は荒廃している。でしたが、結局どの時代の芸術家もそう思っていたのなら、全てはその荒廃の上に出来上がっているのですよね。
最後、ギルは自分のことをモデルにした作品をヘミングウェイらに見せているのですが、その中で自分の婚約者が浮気をしているということに彼らから教えられてやっと気がつきます。
隣の芝は青く見えるのでしょう・・・結局彼は自分のことやその周りのことは流されてばかりで、全く気がついていなかったわけです。
と、作品内容についてはここまでで、とにかく舞台になっているパリの世界がとても美しいのでぜひ見てください。
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